- 2025年7月22日
認知症の治療薬について

2018年に、フランスでは、日本では現在も使用されている4種の認知症治療薬(ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミン・メマンチン)の健康保険の適用が停止されて、全額自己負担となりました。その際に「アルツハイマー型認知症の治療効果と副作用のバランスを再評価した結果、健康保険の適用を正当化するには不十分である」という見解が示されています。
抗認知症薬の臨床効果については、認知機能障害の進行を抑制することや日常生活動作を改善することが示されていますが、認知機能の改善効果は概して小さく、処方する側の医師やご家族が認知症の症状改善を実感できないことが多いのも事実です。
しかし、その一方で、認知症の周辺症状(BPSDと呼ばれます)としての暴力的な言動や情緒の不安定さについては、薬剤によって改善が見られることが多いです。BPSDは、日々の介護を担当されるご家族を疲弊させて、また、そのことが、認知症の人のBPSDを更に悪化させるという悪循環に陥るため、適切な薬剤の使用は、ご自宅での療養環境を改善するための有効な一手となります。