- 2026年1月3日
認知症治療のポイントは? ー 便秘予防の大切さについて ー

便秘は、運動不足・水分不足・食物繊維不足・腹筋力の低下などが誘因となって大腸内に便が長くとどまり、水分が過剰に吸収されて硬くなったり(弛緩性便秘)、便が直腸に達しても排便反射が起こらず、直腸に便が停滞してうまく排便できなくなったり(直腸性便秘)して起こります。
便秘は認知症の方にもよくみられ、認知症の周辺症状としての興奮・徘徊・暴言などを悪化させて、介護者の方に大きな負担をかける原因となることがあります。そのため、便秘を予防して便通状態をコントロールすることは、認知症の方により良い状態で療養していただく上で大切なポイントになります。
便秘を予防する薬(緩下剤)としては、便に水分を含ませたり腸液の分泌を促すことで便を軟らかくするもの、腸を刺激して腸の動きを促進するものなどがあり、状態に合わせて複数の薬剤を組み合わせて使用します。以下に代表的な緩下剤を紹介します。
1.酸化マグネシウム(マグミット):腸内の浸透圧を高めて腸壁から腸内に水分を引き寄せ、腸の内容を軟化・膨張させて腸管に拡張刺激を与えることで、排便を促します。
2. アミティ−ザ:小腸の粘膜上皮にある塩素チャネルという場所に作用し、塩素イオンを腸管内に移行させます。それに伴ってナトリウムイオンも受動的に腸管内に移動することで、腸管内に水が分泌され、便が軟らかくなり、排便が促されます。
3. グーフィス:小腸での胆汁酸の吸収を抑制することで、大腸に流入する胆汁酸の量を増加させます。胆汁酸は、大腸内に水分を分泌させ、さらに消化管運動を促進させるため、効果が発現します。
4. プルゼニド:有効成分としてセンノシドを含有しています。センノシドは大腸細菌による代謝を受けて、強い瀉下活性を持つレインアンスロンに変換されて、効果を発揮します。
5. ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン):大腸細菌により分解され活性型となり、腸管蠕動運動を亢進させ、また水分吸収を阻害して、瀉下作用を示します。他の薬剤と異なり、液体状の薬剤で、コップの水の中に数滴を滴下して服用します。
6. 漢方薬:代表的な漢方薬として、防風通聖散、麻子仁丸、潤腸湯などがありますが、いずれも漢方成分として大黄が配合されています。大黄は有効成分としてセンノシドを含有しており、上記のプルゼニドと同様な作用で効果を発揮します。
認知症の方の周辺症状への対応や慢性の便秘症で悩まれていることがあれば、是非、当院へご相談ください。
